子どもに頭痛は多い?受診の目安は?
成人の場合、頭痛は医療機関を受診する最も多い理由の一つで、4人に1人が何らかの頭痛を持っていると言われています。小児期や思春期にも当然、頭痛は非常に多い一方、どの年齢帯でも家庭で何となく様子をみてしまうことが多い現状があります。もちろん風邪などの体調不良時の頭痛は、感染が治れば改善することが大半ですが、日常生活の中で頭痛を繰り返し、家庭や社会生活、学習などに支障を来しているお子さんは少なくありません。また、頭痛はさまざまな身体疾患のサインの場合もあります。このような場合、頭痛の原因やタイプをしっかりと評価し、非薬物治療、必要に応じて薬物治療を行うことで、このような負担を軽減できることが期待できます。お子さんに多い頭痛には、片頭痛、緊張性頭痛、起立性調節障害に伴う頭痛、心理社会的要因の関与する頭痛などがあり、それぞれに適したお薬や生活指導、心理社会的支援が大切です。放置して何とかなるものではありません。頭痛を反復する場合、たかが頭痛と考えず、是非一度ご相談ください。
頭痛の頻度や程度、訴えるタイミングは?
頭痛を繰り返す場合、その頻度や程度、タイミングは重要です。週や月に何回くらいか、連日か、学校を休んだり、保健室・早退が必要か、部屋で寝込む程だったか、さらにタイミングや誘因では、朝や夕などの時間帯、朝起き上がる前からか起き上がってからか、低気圧、疲労、光、精神・心理的ストレス、月経などは代表的です。これらに加え、吐き気や光・音への過敏といった、頭痛に伴う症状があるか、といった情報も重要です。相談の際にはこういった情報があると、正しい診断に非常に役立ちます。これらを把握するために、是非「頭痛ダイアリー」を活用されることをお勧めします。頭痛ダイアリーは日本頭痛学会のホームページより入手できます。
子どもの頭痛は何かの脳の病気のサイン?
お子さんの頭痛にはさまざまな原因があり、その多くは軽症で、緊急対応が必要なことは少ないのが現状です。しかし、脳出血や脳炎・髄膜炎、脳腫瘍といった重篤な病気のサインとなることもあります。突然の強い頭痛や、頭痛が何日も続く場合、嘔吐や転びやすい、体がしびれる、けいれんを伴う、ぼーっとするなど、頭痛以外の症状を伴う場合などでは、しっかりと診察・精査を行う必要があります。
睡眠障害は頭痛の原因になる?
寝不足と頭痛の強い関連性は、これまでの研究で確認されています。睡眠不足の改善で頭痛が軽減することはよくみられます。日本が世界で最も睡眠時間が短いことは有名で、睡眠不足は心身の多彩な健康上の問題のみならず、経済的・社会的にも深刻な影響が明らかになっています。この状況は日本の子どもたちにも当てはまり、多くのお子さんが慢性的な睡眠不足に陥っています。睡眠障害は学習面への影響のみならず、健やかな心身の成長・発達への重大な影響があることも報告されています。朝起きれない、週末に長い寝坊をする、日中の眠気が強い、といった症状は睡眠不足のサインですが、このようなサインがみられないこともあり、睡眠不足を自覚していないお子さんも少なくありません。したがって、頭痛を繰り返すお子さんでは、睡眠に目を向けてみることは重要です。子どもの眠りについて相談したい場合にも、是非当院へいらしてください。
子どもの頭痛に鎮痛剤(鎮痛薬)は使用して良い?
上にも書いていますが、頭痛はそのタイプや誘因、症状の特徴や程度を正しく把握した上で、治療を含めた対応を決定していく必要があります。もちろん、頭痛によっては鎮痛薬が有効な場合も多く、その場合は特に早期に使用する方が効果的です。特に片頭痛の場合、少なくとも2時間以上(大人の方は4時間以上)は持続します。ひどくなる頭痛のサインを感じたタイミングで鎮痛剤を内服することが勧められています。鎮痛薬はアセトアミノフェンとイブプロフェンと呼ばれる薬がよく使われます。また、小学校高学年以上でこれらの薬の効果が乏しい場合には、トリプタン系と呼ばれる薬が有効な場合がありますが、必ず医師と相談した上で注意事項を守って使用する必要があります。一方で、頭痛の頻度が多い場合や、強い頭痛を繰り返す場合には、予防薬が必要となる場合があります。頭痛頻度が多いからといって鎮痛剤の使用頻度が多い状態を続けていると、逆に頭痛が悪化してしまう場合があります(薬物の使用過多による頭痛)。したがって、頭痛治療は頭痛ダイアリーで状況を把握しながら、定期的に医師と相談の上、継続していくことが重要です。