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子どもの繰り返す発熱

子どもが発熱を繰り返したら?

子どもは大人に比べて免疫機能が未熟なため、発熱する機会が多いです。特に集団生活を始めたばかりの2-3歳のお子さんは、繰り返し風邪をもらってしまうことが多いですが、ほとんどの場合、緊急性は高くありません。また、熱の上がり際は体もつらいため、泣き止まないなど不機嫌なことも多いです。まずは焦らず冷静に状態を確認し、お子さんに寄り添ってあげてください。ただし、風邪が治りきらずに発熱を繰り返す場合や、発熱が長引く場合などでは、しっかりと医学的に評価する必要あります。それ以外でもご不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。


子どもが突然39度の熱を出したらすぐに受診したほうが良い?

子どもが突然39度や40度の熱を出したら誰でも心配になると思います。熱の出始めは発熱する勢いも強いため、解熱剤や熱さまし用のシートなどの対処があまり効かないことも少なくありません。もちろん高熱が何日も続く場合は早く受診する必要がありますが、元気だったお子さんが急に39〜40度の発熱を出した場合、夜間等であれば、まずは焦らず一晩様子をみて頂いて問題ないことがほとんどです。熱の上がる勢いが強い時は、元気がなくなり、手足が冷たくなったり体が震えたりしますが、この段階では無理に水分を取らせようとしたりせず、軽く布団などをかけて、ゆっくりと休ませてあげましょう。数時間くらいして熱の上昇がおさまってくると、手足も徐々に温かくなり、汗をかいたりして、体のつらさも軽くなりますので、ゆっくり水分摂取を再開するとよいです。ただし、急な発熱でも、次の項目の状況がみられる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。


急な発熱でも緊急性のある状態

以下は、急な発熱でも緊急で受診が必要となりうる項目です。該当する項目がある場合は、速やかに受診を検討してください。

  • 生後3か月未満で発熱がある(特に38℃以上)
  • 長い(5分以上)けいれんを起こした、けいれんが止まらない、けいれんが止まっても意識や反応が悪い
  • 苦しそうな咳や呼吸をしている
  • ぐったりとした状態が続いている
  • 水分が半日以上ほとんど摂れていない
  • おしっこが半日以上出ていない、回数や量が明らかに少ない

もちろん、これら以外にも受診が望ましい状況は多々あります。人によっても判断は変わってくると思います。医師の役割は単にお薬を出すことではなく、医学的に対応すべき状況を判断することが最も重要な役割です。したがって、これらの項目に当てはまらない場合でも、ご不安な場合や判断できない状況がある場合にはお気軽にご相談ください。


発熱の原因

お子さんの発熱は、風邪や急性胃腸炎、中耳炎といった、さまざまなウイルスや細菌の感染症に起因することが多いですが、その原因は非常に多彩です。早期対応が必要あるいは可能なもの、抗ウイルス薬や抗菌薬などが有効なもの、入院が必要な場合、家庭や園・学校などで隔離が必要なもの、合併症を起こしやすいものなど、疾患によって注意点もさまざまです。現在は原因菌を特定するための迅速検査や遺伝子検査なども進歩しており、より早くに正しく対処できる可能性も高くなっています。また、発熱が長引いたり、繰り返したりしている場合には、背景に免疫をはじめとした何らかの原因が潜んでいる場合もあります。したがって、診察では必要に応じて検査などを提案させて頂きますので、ご不安な点がありましたら遠慮なくご相談ください。

  • 突発性発疹
  • 気管支炎・肺炎
  • 中耳炎
  • プール熱(咽頭結膜炎)
  • ヘルパンギーナ
  • 手足口病
  • 溶連菌感染症
  • 尿路感染症
  • 川崎病
  • インフルエンザ
  • 麻しん(はしか)
  • 風疹
  • 水痘(水ぼうそう)

など


発熱時に自宅で行える対処法

水分補給

発熱時には呼吸が激しくなったり、発汗量も増加します。一方で、身体がつらいと水分摂取も少なくなるため、脱水症状を引き起こしやすくなります。発熱時の水分補給は、脱水を防ぎ、体のバランスを保ち、免疫機能をサポートする上で重要ですが、むやみに飲ませればいいわけではありません。熱が急激に上がるときは、倦怠感も強く、お腹も動かなくなるのでむしろ、無理に摂取させようとしてもできないことも多いですが、焦らず休ませてあげましょう。一方、熱が上がりきってからは、つらさも落ち着いて、少しずつ水分がとれるようになりますので、一口ずつでいいので、こまめに水分を摂らせるようにしましょう。このような時の水分は、経口補水液やスポーツドリンクなどのイオン水や、湯冷し、お茶、リンゴジュースなどのお腹に負担のすくないものが適しています。

おなかにやさしい食事

発熱時の食事は、おかゆ、煮込んだうどんなど、炭水化物を中心とした消化しやすいものを選びましょう。ごはんは、おかゆでなくても、おにぎりなどをよく噛んで食べればそれでも構いません。このようなものが難しい場合は、糖質の補給としてりんご、バナナ、ゼリー、アイスクリーム、ヨーグルトなどもよいでしょう。

体温に応じた温度調節

発熱時は常に冷やせば良いというわけではありません。熱の上がり際など、手足など末端が冷たかったり、寒気やふるえを伴う場合は布団やブランケットなどかけてあげるとよいと思います。一方、熱が上がった後は、よく末端もあたたかくなり、汗をかいたりしますが、このような時は着せ過ぎ、かけ過ぎ、部屋の温めすぎには注意しましょう。特に小さいお子さんは熱がこもり過ぎてしまう場合があります。部屋の温度を少し下げて薄着にしたり、場合によっては脇や足の付け根、頚部などを冷やしてあげても良いと思います。熱冷まし用シートは、小さい赤ちゃんでは口に入ったりしないように注意しましょう。


子どもの熱が上がったり下がったりするときは受診が必要?

生理的に体温は朝に低く、夕に高くなる傾向があります。熱も同様に朝は下がりやすく、夕に上がりやすくなります。理由はさまざまですが、炎症を抑える作用をもつ体内のホルモン(副腎皮質ホルモン)の分泌が朝に最も高まり、以降は徐々に減少していくことも一つです。このため、朝や日中に熱が落ち着いていても、午後や夕以降に再び熱が上がってくることがよくあります。また、特に小さなお子さんは、大人よりも平熱が高めな上、体温調整機能が未熟で、環境の影響を受けやすいです。高音多湿環境や厚着・布団のかけ過ぎなどで、うつ熱による体温上昇や、その逆もよくみられます。したがって、熱を出す疾患にかかっている間に、熱が上下するのはおかしいことではありません。
もちろん、このような状態が何日か続くときは、日中に受診しておきましょう。夜間や休日など、医療機関が開いていないときには、熱が再び上がっても、活気や機嫌がそこそこ保たれ、ちょくちょく水分が摂れている、おしっこの量や回数が普段と同じくらい出ている、呼吸が苦しそうでないなど、全身の状態が落ち着いている場合は、翌日の受診でも問題ないでしょう。


熱で体がふるえているのはけいれん?緊急受診が必要?

急速に体温が上がる時には、体がふるえることがあります。これを「悪寒」といって、体がつらいことが多いので、ぐったりと反応が悪くなることも少なくありません。「けいれん」と間違われることもありますが、あせる必要はなく、多くは反応が保たれ、症状が落ち着くまで布団をかけるなど、軽く温めながら様子をみて問題ありません。一方で、発熱の初期に起こす「熱性けいれん(熱性発作)」もあります。多くは白目をむいて、全身を硬直させたりガクガクさせたりしますが、ぼーっと視線が合わず、反応が乏しくなるだけのこともあります。これらも通常は数分程度で自然におさまり、徐々に意識も回復しますので緊急受診が必要ないことは多いです。ただ、これらを正しく見分けたり、問題ないと判断するのが難しいことも少なくありません。ぜひお気軽にご相談ください。その際、状況を動画などに撮っておいて頂ければ、後日何であったか判断するのにも役立ちます。