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脳波検査

脳波検査とは

頭皮に多くの電極を取り付け、脳の表面に生ずる微弱な電気活動を測定する検査です。脳には(さまざまな説がありますが)約1000億個の神経細胞があると言われています。それらの細胞は、さまざまな物質(神経伝達物質)のやりとりや、神経細胞自体の電気的活動を介して互いに情報伝達をしています。この神経細胞の電気活動は当然ごく微弱な上、かつ、脳の表面からは脳脊髄液や頭蓋骨、皮膚といった障壁があるため、頭皮上で感知できる電気活動はさらにぐっと弱くなります。したがって、脳波は大変デリケートな検査ですので、頭皮をよく拭いて、汗や皮脂の抵抗を最小限にして電極をつけていきますので、電極をつけ終わるまでにも時間がかかります。また、リラックスして、なるべく動かず静かに行うことが大切です。小さいお子さんなど、じっとしていることが難しい場合には、眠くなるお薬を使うことがあります。脳波は古くからある検査ですが、リアルタイムに脳の活動を捉えられる意義深い検査で、てんかんのみならず、さまざまな疾患の分析や目的で行われます。当院では高い検査技術をもつ脳波技師が在籍しており、年齢問わず、必要な方に脳波検査を実施致します。ただし、睡眠薬が必要な場合で、その副作用が問題となる方など、安全管理上の懸念がある場合は連携医療機関へ紹介することがあります。

お子さんが脳波検査を受ける前に一緒に見て頂けたら嬉しいです。


脳波検査で分かること

脳表の電気活動を分析することで、てんかんをはじめとした数多くの脳や身体の疾患の評価や、睡眠の分析など、診療に役立つ幅広い情報が得られます。ただし、脳波の記録や判定には熟練した技能と知識が必要になります。単に正常、異常といった判定のみでは意味がなく、未だ機械や人工知能で満足のいく解析はできません。また、脳波検査は起きている時と寝ている時とで大きくパターンが変化しますので、できればそれぞれを十分な時間、記録することが大切です。したがって、しっかりと眠れるまで、できれば30分は記録することが望ましいです。さらに、光や過呼吸といった刺激に対する反応をみることも、脳の特性判断には欠かせません。

光刺激の目的

脳波記録中に、ピカピカと顔に光をあてて刺激する検査を行います。光刺激は1秒間に1回のゆっくりとした点滅から、数十回に及ぶ点滅まで順番に行います。結構強い光ですのでつらくなる方もおられますが重要な検査です。ただ、てんかんだからといって、皆が光に弱くなる訳ではありませんが、その一部の方は光によって脳が過剰に反応して、脳波の異常が現れたり、場合によっては発作が誘発されることがあります。てんかんではない疾患でも、光によって異常がみられることもあります。この光に対する反応は、疾患の診断や治療にも大いに役立ちます。

過呼吸の目的

脳波中に大きく息を吸って吐いてを3分間繰り返す検査です。結構大変ですが、「欠神発作」とよばれるタイプのてんかん発作の診断に重要な検査です。欠神発作は5-10秒ほど、ぼーっと意識・反応が乏しくなる発作で、診断ができれば治療薬の選択に役立ちます。てんかん以外では、脳の発達状況を間接的に把握できたり、あるタイプの脳血管疾患では特徴的な異常が出現することが知られています。ただし、後者では危険な場合もあるため、この刺激は行わないこともあります。


脳波検査の注意事項

主な脳波検査の注意事項は以下となります。

  • 検査にかかる時間は、電極の装着と脳波の記録それぞれに時間がかかりますので、合計1時間程度はかかります。幼少なお子さんなど、動いてしまったり、寝てもらうことが必要な場合には、より長い時間を要します。
  • 脳波検査では、睡眠状態まで記録することが非常に重要です。このため、普段は勧められませんが、前夜の入眠時間を遅く当日の覚醒時間は早く(それぞれ1-2時間程度)して、寝不足の状態で来ていただくとスムーズな睡眠が得られます(来られる際、帰る際にはご注意ください)。
  • トイレは事前に済ませておいてください。
  • 前日は洗髪し、当日は整髪料を付けずにお越しください。
  • 検査当日に食事は通常通り摂って頂いて問題ありません。ただし、眠くなるお薬を使う必要がある場合は、安全のために制限する必要がありますので、当院の指示に従ってください。

長時間脳波検査(長時間ビデオ脳波検査)とは

患者さんの状態や検査の目的によっては、病院に入院した上で、一晩以上など長時間の脳波記録が必要な場合があります。これは、評価したい症状がてんかん発作かそうでないかの判断、気づかないてんかん発作の確認、てんかん発作の種類の正確な診断、睡眠の評価、夜間睡眠中の脳波変化の評価など、目的はさまざまですが、通常の外来での脳波検査では得ることができない情報が得られます。したがって、医師がこのような検査が必要と判断した場合には、連携医療機関に紹介させて頂きます。